静脈内鎮静法
静脈内鎮静法について
当院では、インプラント治療に対する不安や恐怖心をできるだけ軽減し、患者様のご負担を最小限に抑えた状態で治療を受けていただけるよう、「静脈内鎮静法」を導入しています。
静脈内鎮静法とは、セデーションとも呼ばれる方法で、点滴によってリラックスした安静状態をつくる麻酔法です。
全身麻酔のように完全に意識がなくなるわけではなく、眠っているような感覚の中で、声かけに反応できるほどの意識は保たれています。
この状態で治療を行うことで、恐怖心がやわらぎ、リラックスした気持ちで手術を受けていただくことができます。
この方法では、気管内挿管（口や鼻からの管の挿入）は必要なく、入院の必要もありません。
麻酔は、歯科麻酔の専門医である昭和医科大学 歯科麻酔科講師・立川哲史先生が担当いたしますので、より安心して治療を受けていただけます。
静脈内鎮静法は、インプラントの埋入手術や親知らずの抜歯など、外科的処置に対して強い不安を感じる患者様にも、安心して治療を受けていただける方法として広く活用されています。
静脈内鎮静法が適している方
以下のような方におすすめしています。
- 歯科治療に対する恐怖感が強い、または、大きな不安をもっている方
- インプラントや歯周病の治療、抜歯などの外科手術が必要な方
- 短期間で治療を完了したい方
- 吐き気が強く、 口腔内の治療が難しい方
静脈内鎮静法の手順
具体的な流れについて説明します。
複数の薬剤を用いて、点滴をおこなうことで効果を最適化します。
点滴開始後、リラックスした状態を経て、約2分後には強い眠気におそわれます。
この状態でも一部の方は意識がありますが、痛みを感じず、ほとんどの方が手術中の記憶もなくなります。
使用する薬剤は、プロポフォールやジアゼパム・ミタゾラムといったものが一般的です。
当日の具体的な流れについて
1.点滴の実施
主に腕の静脈に点滴針を挿入します。
注射の際の痛みについても、極力感じにくいように、非常に細い針を使用します。
2.鎮静剤の注入
点滴が問題なく開始できたのち、鎮静剤を注入します。
用量は患者様の状態に応じて調整させていただきます。
3.局所麻酔の適用 (必要な場合)
静脈内鎮静法だけでは痛みを取ることはできないため、インプラントを入れる部分には、きちんと局所麻酔をしてから治療を始めます。
治療中は、血液の状態や心拍、呼吸などをしっかりとモニターで確認しながら、安全に注意を払って進めていきます。
また、万が一何かあったときにも、麻酔の専門医がその場で適切に対応できるよう、しっかりとしたサポート体制を整えています。
静脈内鎮静法は安全性が
確立された麻酔方法です
「精神安定剤」と聞くと、安全性が確認されているとはいえ、不安に感じる方もいらっしゃるかもしれません。
ですが、歯科治療の現場では、静脈内鎮静法はごく一般的に用いられており、当院でも幅広い年齢の患者様に安心して受けていただいております。
特に、痛みに敏感な方や、強い嘔吐反射がある方、心臓病や高血圧などの持病をお持ちの方にとっては、心拍数や血圧の変動を抑えながら治療が行えるため、より安全で落ち着いた状況で処置を進めることができます。
事前に知ってほしい注意点
手術のあとすぐは、眠気やふらつきが残ることがあります。
そのため、体調が落ち着くまでの間は院内でゆっくりお休みいただき、状態が安定してからご帰宅となります。
おおよそ3〜4時間ほどで普段通りの生活に戻れますが、手術当日は以下の点にご注意ください。
手術当日の注意事項
- 自動車や自転車の運転は控えてください。
- 口紅やマニキュアは使わず、顔色や爪の色が確認できるようにしてください。
- 当日は無理をせず、ご自宅で安静にお過ごしください。
当院では、患者様が安心して治療を受けられるよう、安全面に十分配慮し、不安やご負担をできる限り軽減できるよう努めています。
ご不明な点やご心配なことがありましたら、どうぞ遠慮なく歯科医師やスタッフにお声がけください。
また以下の患者様は静脈内鎮静法が行なえない場合があります。
- 高血圧症・不整脈・狭心症・心筋梗塞等 高度の循環器系疾患をもった患者様
- 気管支喘息・慢性気管支炎・肺線維症等 呼吸器系疾患をもった患者様
- 重度糖尿病
- 甲状腺機能亢進症・低下症
- 重症筋無力症
- パーキンソン病
- 肝硬変などにより止血が難しい患者様
- 腎不全などで透析を受けられている患者様
- ペースメーカーを使用している患者様
- 鎮痛薬や向精神薬を普段から長期にわたり摂取している患者様
